ユダヤ人とアラブ人の起源に関する聖書の説明はY染色体の分析によって支持される

"Reasons To Believe"(信仰の根拠)が発行した"Connections" (2000年, vol.2, no.4) p.2)からの翻訳。

松崎英高(箱崎キリスト福音教会牧師、薬学博士)、ティモシー・ボイル(つくばクリスチャンセンター宣教師、物理学学士号、神学博士)共訳

【Author】Fazale R. Rana

【Title】Y Chromosome Analysis Confirms Biblical Account of Jewish and Arabic Origins

【Literature】Connections, 2000, Vol. 2, No. 4, p3.

国際的な研究チームによってなれた最新の研究が、創世記に記載されているように、ユダヤ人とアラブ人が一人の父祖(アブラハム)の子孫であるとい う聖書の説明の信憑性を強力に支持する証拠を提供しています[1]

その研究チームは、1371名の男性から採取したY染色体の特別な領域(非組み換え領域)を比較しました(訳注**)。実験対象は、アフリカと中 東とヨーロッパの29の集団に属していました。それらの集団のうち、7つはユダヤ人、他の22は非ユダヤ人でした。非ユダヤ人の集団のうち16は、7つ のユダヤ人集団と同じ地域に居住していました。同一の地域に住むユダヤ人と非ユダヤ人の集団は、全ての場合において長い期間共存していましたが、そのこ とによって、この1371件のサンプリングは、それらの起源を評価するための理想的な系となります。

研究者たちが発見したことは、すべての集団の中で地理的にはもっとも広範囲に拡散していた7つのユダヤ人集団(アシュケナジ、ローマ、北アフリ カ、クルド、近東、イエメン、エチオピア)が、お互いに隔離されていたにもかかわらず、著しく高いレベルで遺伝的に類似していることでした。事実、ユダ ヤ人の各集団は、調査された各集団のうち、地理的距離に対する遺伝的相違の割合が最も低かったのです。さらに、7つのユダヤ人集団のそれぞれは、地理的 に最も近隣の人々より、他のユダヤ人集団との間により高度な遺伝的類似性を持っていました。これらの結果は、ユダヤ民族が単一の先祖集団に由来するもの であることを示唆しています。

さらに、研究者たちは、中東の非ユダヤ人集団がユダヤ人集団と最も近い遺伝的類似性を示すことを見出しました。調査されたシリヤ人とパレスチナ人 は、7つのユダヤ人集団と同じ遺伝的なグループに属します。サウジアラビヤ人とレバノン人とドゥルーズ人の各集団は、次に遺伝的にユダヤ人と近いことが 分かりました。このことは、ユダヤ人が中東においてアラブ人をも発生させた同じ先祖に起源を持つことと合致します。

創世記は、アブラハムがその息子イサクから出たイスラエル民族の父祖であるばかりでなく、別の息子イシュマエルから出たアラブ民族の父祖でもある と教えています。イシュマエルはサラの女奴隷であったエジプト人バガルから生まれました[2](創世記16:1-6)。イサクの誕生後、アブラハムはハガルとイシュマエルを追い払いました。その時に、神は、彼 女の息子イシュマエルを大いなる国民とするという約束によって、アブラハムとハガルを慰められました(同21:11-18)。イシュマエルと彼の子孫 は、アシュルの東、エジプトの境界付近のハビラからシュルまでの地域に定住しました(同25:12-18)。この地域は、アッシリヤとアラビヤの地を含 みます。

言い換えると、最近のY染色体解析の結果は、創世記16~25章と合致しています。研究者たちがこの研究を行なった目的は、人間の集団移動を追跡 する手段としての遺伝的解析の信頼性を評価するためでした。その過程において、彼らは聖書の信頼性を強力に裏付ける、新しい証拠を提供したのです。

訳注

  • 動物の染色体には、性を決定する性染色体とそれ以外の常染色体がある。ヒトの染色体の場合、男性はXY型、女性はXX型であり、Y染色体は男 性にしか存在しない。従って、Y染色体の分析は男性のルーツを解明することにつながる。

引用文献

1 M. F. Hammer, et. al., Jewish and Middle Eastern Non-Jewish Populations Share a Common Pool of Y-Chromosome Biallelic Haplotypes, Proceedings of the National Academy of Sciences, USA 97 (2000): 6769-74.

2 Derek Kidner, Genesis: An Introductionand Commentary, Tyndale Old Testament Commentaries, D. J. Wiseman, General Editor (Leicester, England: InterVarsity Press, 1967), 127.

Updated: 2006 年 11 月 02 日,04:49 午後

アップロード 編集