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「人間が900歳まで生きたなんて、まさかそんなことをあなたは本気で信じてはいないでしょう。」 この質問は、私が2005年の春にニューヨーク州アルバニー市で講演をしていた時に、地元では有名な無神論者が突きつけたものです。多くの懐疑論者にとって、創世記5章と11章に記されている長寿は、ばかげたことに思えます。どちらかと言えば、人類学的な証拠は、数千年前に生きた人間が現代人よりも短命であったことを示しているように思えます。しかし、福音派の聖書学者たちは、これらの文章を字句通りに読むと、初期の人類は何百歳も生きていたが、ノアの洪水の後では寿命が最大で120年に短縮されたという意味になると確信しています。この矛盾はどうやって解決されるのでしょうか。 老化の生化学における最近の進歩や地球がさらされている放射線環境の変化に対する天文学的な新しい識見は、このような長寿を科学的につじつまの合うものにします[1]。しかし、このような進歩は根本的な問題を提起することになります。すなわち、聖書的な説明が正しいのなら、なぜ900歳の人間の化石が出てこないのでしょうか。 最近の研究がこのことを説明してくれるかも知れません。日本人の解剖学者が、腸骨（骨盤の一部）の分析を基本にした、死亡時における年齢を決定する新しい方法を開発しました[2]。この新たに開発された研究方法は、法医学者が人間の死亡時の年齢を決定するために現在使用されている方法に似ています[3]。人間が年を取るにつれて、特徴的な変化が骨格に起こります。これらの変化と年齢を注意深く関連づけることによって、科学者は遺体の骨から死亡時の年齢を評価することができるのです。 この新しい方法やこれに類似した方法は、参照標本として採用された個々の検体に決定的に左右されます。ある検体で測定された死亡時の年齢が較正曲線を作成するために採用された被験者の性差ごとの年齢分布に左右されることを、研究者は証明しました。参照標本における年齢と性別の分布の均衡が取れていなかった場合、測定された年齢は過大評価されたり、過小評価されたりすることにもなります。 人間の化石の年齢決定は、やむを得ないことですが、現代の人間の較正曲線に基づいてなされています。しかし、この測定法は、大洪水より以前の老化のプロセスが緩慢であった人間には適用できないでしょう。ですから、化石記録に900歳の人間が見つからないのは、必ずしも長寿が否定されたことを意味するのではないのです。むしろ、少なくとも部分的には生活年齢や骨格の変化を間違って見積もってしまったことの結果なのかも知れません。 一見したところでは、創世記に記載された長寿は信じられないものです。しかし、生化学や解剖学の進歩に加えて、年齢決定法の修正によっても、この聖書の記述が真実であることが以前より説得力を持つように思えます。 その懐疑主義者の隣人に対する私の答えはこうでした。「はい。私は人間が900歳まで生きたことを確かに信じています。そして、その理由は、これから説明しましょう。」 引用文献 ---------------- 1. Fazale R. Rana, Hugh Ross, and Richard Deem, "Long Life Spans: Adam Lived 930 Years and Then He Died; New Discoveries in the Biochemistry of Aging Support the Biblical Record," Facts for Faith, no. 5 (Q1 2001), http://www.reasons.org/resources/fff/2001issue05/index.shtml#long_life_spans. 2. Yuriko Igarashi et al., "New Method for Estimation of Adult Skeletal Age at Death from the Morphology of the Auricular Surface of the Ilium," American Journal of Physical Anthropology : early view, published online April 4, 2005. http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/abstract/110436520/ABSTRACT 3. For example see Mehmet Yaşar İşcan, ed., Age Markers in the Human Skeleton (Springfield, IL: Charles C. Thomas, 1989). |