パラダイムの転換

ディスカバー誌は最近、20世紀のことを“科学に関する最も驚くべき世紀”と宣言し、タイム誌はー何千人もの政治家、詩人、伝道者などの候補のいる中からー科学者のアルバート・アインシュタインを、その権威を誇る“今世紀を代表する人物”に選びました。疑いもなく、20世紀は人類の歴史上のどの世紀よりも多くの、また広く影響を及ぼす科学発見を私たちが目にした世紀でした。そして、その100年間の科学は、間違いなく、現実の認識についての現代人のパラダイムの多くを形造ってきました。それは、宇宙における私たちの物理的な居場所、すべての物質の不可視レベルでの構造とエネルギー、人類の出現した時期、生物の有する多くの形質についての遺伝的根源、その他多くについての、私たちの考え方です。しかし、20世紀の後半、現実についての科学の考え方を、少し違った何かが形成し始めました。それは一般のニュースメディアでは余り注目を浴びていませんが、現実には科学発表の世界で極めて頻繁に現れてきたものです。その“少し違った何か”とはこういうことです:多くの指導的な研究者たちが、自らのデータに促されて、少なくとも過去150年間のほとんどの科学者たちよりも、現実についての基本的な認識を聖書的な世界観により近いものに変えてきたということです。聖書(の真実)を認める方向に科学を押し進めた1950年から2000年までの何千という発見の中から、まず最初に、物理科学の研究者たちが1)宇宙の起源、2)物質とエネルギーの秩序、3)物理法則、4)私たちの太陽系の起源と秩序、及び5)私たちの地球?月系の起源と特徴をどの様に理解するかということについて、5つの主要なパラダイムの転換に至るもととなった、20余りの偉大な発見を取りあげます。最後の5つのパラダイムの転換は物科学に関するもので、それらは、6)生命の存在が可能となった時点から、極めて早い時期に生命体が存在していたこと、7)多くの生物分子的及び細胞内の微小なシステムには還元できない複雑性と極めて複雑なデザインを持つこと、8)大量の絶滅後に極めて早い時期に多数の新しい種が誕生したことは自然淘汰では説明できないこと、9)化石記録に漸進的な進化による形態変化が全く存在しないこと、及び進化によって変化が起きる機構が全く見い出せないこと、そして10)現代人は最近、突然に出現し、他の霊長類との関係が全くないことということです。

では、なぜこれらの発見と転換が科学における真理の探究者たちをますます「さあ、神のみわざを見よ。神の人の子らになさることは恐ろしい。」(詩篇66:5)と促しているのかを見ましょう。

パラダイムの転換1

現代科学のかつての主張は宇宙が無限大で永遠に続くというものでした。多くの理論家が宇宙はちょうど良い質量とエネルギーを有しているので、膨張し、収縮し、その後また再び膨張するという永続的な周期によって自らを再生することができると考えていたのです。しかし、今やほとんどの科学者がこう信じています・・・

宇宙全体は今をさかのぼる、ある有限の時間前に、突然、爆発的に存在するようになったのであり、それは時間・空間・物質・エネルギーの境界を越えて働いている、これらの原因となった存在者により創造されたものである。我々が経験できるたったの4つの次元ではなく、10の次元が宇宙を構成している。そして、我々が知っているような時間というものは宇宙の始まりと共に始まった。

なぜ、科学がこの転換を起こしたのか?ここに感嘆せずにはいられないような発見の中から、ほんの数例を挙げます:

宇宙はバウンドできない!

1993年、天文学者のジョン・メイサーと彼のチームは今や有名となったCOBE (宇宙背景放射探索衛星)による探索の結果、宇宙が極めて“高いエントロピー”を有していることを証明しました4。宇宙背景放射(宇宙創造の際に残された放射線)を研究した結果、我々の住むこの宇宙はエネルギーを極めて効率よく放射するので仕事をするエネルギーはほとんど残されていないことが判ったのです。そして、その仕事とは“バウンド”、つまり(宇宙の)“収縮”の後に再び跳ね返ることですが、そのために必要となるものなのですーこれは収縮が可能であるという前提での話ですが。宇宙の機械的効率は1%の100万分の1以下なのです。これを車のエンジンの25%という効率と較べてみて下さい!収縮が可能かという点においても、過去2年間に10数組以上の研究チームがこの宇宙には収縮期に入るのに必要な質量の3分の1以下しかないと報告しています5。その信仰が、再生する、あるいは“輪廻”する宇宙観に基づいている人々全て(この中に含まれるのはほとんどのヒンズー教、仏教と「ニューエージ」宗教の派、及び自然主義者)にとって悲しむべき知らせですが、宇宙は収縮できないし、仮にできたとしても再び跳ね返られそうにありません6。

ビッグ・バンの波紋効果(ripple effect)

正しい宇宙起源モデルは星と銀河の起源を説明できるものでなければなりません。星や銀河ができるには原始宇宙背景放射にほんのわずかの“かたまり”(つまり、でこぼこ、或いは波紋)が必要です。極めてスムーズな宇宙背景放射では、わたしたちが見ているような星や銀河は誕生できないし、でこぼこ過ぎる場合もまただめです。1970年代に構築された熱いビッグ・バン理論では、ある一定少量の放射の波紋(温度のゆらぎ)があれば星や銀河ができると予測していました。しかし、1965年になされた、もっとも初期の放射検知はそれを知るのに必要な十分な感度を有していませんでした1。そして、1992年、ジョージ・スムートをリーダーとする天文学者グループによる発見が世界を駆けめぐりました2。世界中の報道の見出しにおどったのは、その波紋を検出したということです、その理論が提唱していたものとまさに一致する大きさの波紋でした(このかたまりの映像記録の一つが上に示してあります)。それ以来、他の幾つかの研究チームも、それぞれ独立してその結果を確認しました3。あるタイプの熱いビッグ・バン理論は(創世記1:1や他の聖書箇所とも良く一致するものですが)宇宙がどのようにして始まったかを正確に描写するものです。このことがもつ霊的意義は科学界、及び更にそれを越えた領域まで波及し続けています。

証明された時空理論は神を必要とする

スティーブン・ホーキングとロジャー・ペンローズ(写真)によって1970年に構築された、相対性理論に基づく時空理論は、宇宙を誕生させた原因(或いは創造者)は宇宙の物質、エネルギー、及び時間と空間という膨張し続けている次元の外に存在して、それを引き起こしたはずであるということを証明しています7。実際、その理論によれば、宇宙の創造者は宇宙を超越しており、我々が知るような空間と時間は、宇宙の始まりと共に始まったのです(これは、科学的理論であると同時に、神学的な言明です)!もちろん、この時空理論は一般相対性理論から生まれたものですから、それが確実であるか否かは相対性理論の確実性に依存しています。1970年においては、これには疑う余地がまだありました。しかし、今日では疑問は少しも残りません。相対性理論は、今日では物理学のあらゆる分野の中で、最も厳密に試された、しかもしっかりと確立した原理という事ができます8。(更に多くの証拠については、パラダイムの転換2番をご覧下さい。)

宇宙の冷却

1990年代の初期に、アンチオネット・ソンゲイラをリーダーとする天文学者のチームが初めて観察した事ですが、宇宙創造の際に生じた放射は、その始まり近くにおいてより熱く、その後の時間をおいて、より冷えていました。この宇宙背景放射は、“理想的な熱放射物体”に完全に一致するスペクトラムを有しています(下記参照)。そして、この宇宙背景放射の温度は、非常に遠くにあるガス雲の炭素のスペクトル線の変移に影響を与えます。これらの鋭敏な指標から分かることは、より遠くを見るほど(すなわち、より昔を見るほど)その放射がより熱いということです10。この冷却プロセスパターンを直接的に観察できたことにより、熱いビッグバンによる起源モデル(これは、聖書の創造の記述と明らかに足並みを合わせるモデルです)が劇的に根拠のあるものとなりました。

パラダイムの転換2

現代科学のかつての主張は宇宙が無秩序であるというものでした。つまり、その中で何かが造り上げられる事があるとするならば、それは、光子や粒子、あるいは原子の数えきれない偶然の相互作用により、無限の時間と空間の中で何らかの方法で自己形成が起きるからである、と。しかし、今やほとんどの科学者はこう信じています・・・

宇宙は、有限の時間の中に始まりを有しているだけでなく、精緻なデザインの存在を示している。その化学的組成、動力学、その質量、そして、物理的な部分部分の配置、これらすべてが人間のデザイン力をはるかに超越する、複雑で且つ一定した、相互に依存する形式の存在を現わしている。

なぜ、科学がこの転換を起こしたのか?ここに感嘆せずにはいられないような発見の中から、ほんの数例を挙げます:

相対性理論の正確さが評価される-アインシュタインと聖書の正しさが立証される

ラッセル・ハルス(上)とジョセフ・テイラーに率いられた電磁天文学者達のチームが二十年間にわたり(1972?92)二つの中性子星が互いに螺旋状回転をする速度を測定しました11。この試みの目的は、アルバート・アインシュタイン(下)によって構築された相対性理論の正確度をテストすることでした。最終的に、彼らの仕事が示したことは、一般相対性理論の方程式が宇宙の原動力を一兆分の一%以上の正確さで現しているということでした12!科学(と神学)がアインシュタインの理論に依存している部分が極めて大きいため、研究者達はずっとその検証を続けてきました。過去三年間において彼らが調べた事柄には、重力レンズ、ブラックホールと中性子星の近くにおける時空のゆがみ、ブラックホールの回転速度、ブラックホールの増大の動体力学、やレンズ・サーリング効果、そして中性子星周囲の準安定軌道などがあります。これらすべての事項において、相対性理論は成立していました13。信仰につながる分岐網は膨大です:物質とエネルギーは、その始まりの時点までたどることができます。時間と空間は、その始まりの時点までたどりつくことができます。その創始者は、物質エネルギー、空間、及び時間の中に閉じこめられている存在ではありません。これらの発見は、ただ一つの例外をのぞき、すべての聖典の創造に関する教義に矛盾するものです。その例外とは、聖書、すなわち旧新約両者です14。

結局無駄ではない

カール・セイガンとスティーブン・ホーキンズの両者が、宇宙はクリスチャン達の神によって説明されるには大きすぎ、また、星や銀河に満たされ過ぎているという意見を表明しました。彼らの考えでは、神がその目的を達成するには、一つの太陽系の中にたった一つの惑星があれば十分であろう、ということでした。その残りすべては、“無駄”であるということです。しかし、今やますます多くの科学者達が、セイガンやホーキンズの意見に反対するようになっている理由は次の重要な事実にあります:即ち、質量密度は、核融合にとって鋭敏な触媒であるということです。したがって、もし宇宙の質量密度がわずかでも少なければ、宇宙は水素とヘリウムのみを含むことになるでしょう。もし、その質量密度がわずかでも大きければ、宇宙は鉄よりも重い元素のみを含むことになるでしょう。生命に必要な炭素、酸素、そして窒素は、一兆の更に何千億倍という数の星を有する宇宙においてのみ存在可能となるのです15。仮に、この小さな一つの惑星に住む我々人類がこの宇宙における唯一の存在者であったとしても、宇宙の広大さは決して無駄ではないということなのです。

完全な膨張速度

1999年、31人の天文学者から成る国際チームが42の超新星についての測定を用いて私達の住む宇宙の膨張速度について、画期的な発見をしました。この発見は極めて重要なものなので、今後発行される『信仰のための事実』(Facts for Faith) において一つの特集記事のすべてをそれについての記載に当てる予定です。ある人々は、これは宇宙が神によってデザインされたことを示すかつて発見されたどの証拠よりも強力なものであると考えています。

すべてが一つの年代

宇宙の年齢を測定する三つの最良の方法 一 すなわち、放射分析による年代決定、最も古い星の燃焼時間、及びハッブル時間(宇宙の膨張速度に基づく)ですが、これらを用いた天文学者達は、一つの問題に突き当たりました。これらの三つの方法は同じ規模の年代結果を示したのですが、ある天文学者によるハッブル時間の計測では、宇宙全体は最も古い星から示された年齢よりも数十億年若い年代測定の結果となりました。しかしながら、これらのハッブル時間計測は、二つの誤った前提に基づいていました:1)宇宙定数は、0値をもつということ、及び2)宇宙の質量密度は、永遠の膨張とやがての収縮の中間の所でちょうど良いバランスを保っているということ、です。1999年に、31名の天文学者からなる国際チームの計測がこの問題を解決しました。彼らは、宇宙定数が0値よりもわずかに大きいことを確立し、また、宇宙密度がバランスポイントよりもはるかに少ないことを示しました16。その他の計測が、最も古い星々の年代についてもう少し低い値を示しました。こうして、三つの宇宙年齢の特定法すべてが、同じ答えを示すことになりました。:145億年です。この一致によって、私たちの宇宙の起源モデルの正確さに対する信頼性が更に増すことになりました。

パラダイムの転換3

現代科学のかつての主張はそれぞれの物理定数の値には特別な意味はなく、また宇宙の種々の特徴のどれも特別の意味はないというものでした。しかし、いまやほとんどの科学者はこう信じています・・・

宇宙と私たちの太陽系の種々の特徴 一 これには物理法則を支配する諸定数が含まれるが 一 それらが宇宙の存在する全期間にわたって特別に微調整されて初めて、地球のような惑星に長い期間に生命体の存在の維持が可能となります。その上、その惑星の存在でさえこれらの微調整にかかっています。

なぜ、科学がこの転換を起こしたのか?ここに感嘆せずにはいられないような発見の中から、ほんの数例を挙げます:

「紐理論」の不思議な世界

物理学者達は長さ、幅、高さ、そして時間からなる次元では量子力学と重力の働きを説明するには十分でないことを以前より知っていました。それで彼らは宇宙がさらに多くの時空の次元から始まった、それは8から26までのどこかですが、そのような可能性を探索しました。ほねのおれる計算といくらかの数学的ひらめきによって、答えがでました:宇宙は正確に10の時空次元から始まったのです、それ以上でも以下でもありません。わたしたちになじみの深い長さ、幅、高さ、時間という次元よりも6次元多い状態で宇宙が始まったとするならば、重力と量子力学のどちらもが完全に働くのです。この大きな進展はまた、ユニークかつ予想もしなかった形で、その理論から特殊及び一般相対性理論のすべての方程式が導き出されました。その結果から、相対性理論を確認する実験的証拠が同時に10次元の宇宙の創造を確認することを意味することが分かりました。このことが確証されたということはまた、宇宙のデザイナーについてあることを私たちにつたえるものです:創造主は自由に時空の次元を創造する力を有し、その能力はその10次元の中で可能なことを超越しているということです。世界中の宗教のすべての異なる「聖典」の中で、聖書のみが、私たち人間が経験し、見ることのできる4次元という狭い枠には押し込めることのできない属性と活動を有する神を明らかにしているのです。このような啓示は超自然的な源から由来するに違いありません。

確かな不確実性

超微小な領域(量子論の領域)で起きることが私たち人類に超巨大なインパクトをもたらすことが明らかとなっています。高等動物にとって欠くべからざるある種の化学反応は、その想像を絶する小さなレベルで機能するために非常に正確な値を必要としています。1980年、物理学者であるアラン・ブロムリーが明らかにしたことですが、ヘモグロビン(上写真)が私たちの体を構成する細胞に酸素を運搬する能力は「量子トンネル」と呼ばれる現象の速度に決定的な依存をしています18。ここで私たちは面白い皮肉に出会うことになります。それは量子トンネルの程度はハイゼンベルグの「不確定性原理」における「不確実性」の量によって決定されということです。量子現象における不確実性が少なすぎても多すぎても、高等動物に必要な幾つかの化学反応に破壊的な結果をもたらします。アインシュタインは量子力学に異議を唱えましたが、それに対して私たちは今や解答を有しています。アインシュタインはこう言いました。「神はサイコロ遊びをされない。」今や、明らかなことは、神はサイコロ遊びをされるだけでなく、注意深くサイコロとその転がり方までを設計されて、高等生物が存在できるようにされたということです。

どんな核基底状態からあなたは生まれましたか?

世界中で最も良く知られた天文学者の一人であるフレッド・ホイル卿(右写真)は、聖書の神を信じている人ではありませんが、神の御業を示す、多くの人々が感嘆せずにはおられないような証拠を1992年に発見しました。ホイルはヘリウム、ベリリウム、炭素及び酸素について、その「核基底状態エネルギーレベル」(原子核が安定する最も低いエネルギーレベル)を研究していたのですが、これらの元素がうまく働くか否かはその値のほんのわずかな違いに左右されることを見いだしたのです19。もし、それぞれのレベルが4%かそれ以上違っていたら、宇宙は炭素が少なすぎるか、酸素が少なすぎることになり、生命は存在し得ないのです。ホイルはこう結論しました:「超知的存在が化学や生物学と共に、物理学もいじくったに違いない。」20

デザイナーの力

1937年のポール・ディラックの仕事と、ロバート・ディック(上写真)がこれを発展させた1961年の研究により、物理学者は初めて宇宙が超自然的にデザインされていることを示す、測定可能な指標をみいだしました。ディラックとディックは重力を支配する定数が正確に固定されていて初めて、宇宙は生命を宿すことができるということを見いだしたのです21。1960年代以後、物理学者は更に進んで、物理学における4つの基本的な力?重力に加え、電磁力、弱い核力、そして強い核力?のすべてを支配する諸定数が、ある狭い範囲の値をとって初めて、生命が存在できることを明らかにしました22。これらの定数が注意深く設定され、維持されていないと、生命にとって必要な原子、分子、元素、恒星、及び惑星は存在し得ないのです。物理学者のポール・デイビーズがいみじくも結論したように、「誰かが自然界の数字を微調整しました23。」

パラダイムの転換4

現代科学のかつての主張は、宇宙に見られる1兆近くの銀河と1兆の千億倍の数の星には、間違いなく生命をはぐくむ何十億もの惑星が存在するに違いないというものでした。しかし、いまやほとんどの科学者はこう認識しています・・・

私たちの惑星、私たちの太陽、及び私たちの銀河は、他の惑星系、他の恒星、そして他の銀河と比べたとき、複雑なデザインを有していることが明らかである。天文学者たちは生命を維持できる別の惑星を見い出す確率(即ち、神によるデザインを前提としない確率)を計算してみましたが、それは全く微々たる値でした。

なぜ、科学がこの転換を起こしたのか?ここに感嘆せずにはいられないような発見の中から、ほんの数例を挙げます:

わが家のようなところはほとんどなし

今日までに、天文学者達は私たちの太陽系以外に33の巨大惑星を発見しましたが(その1例が←の先にみえます)、これは生命が宇宙のあちこちで誕生し得たことを証明するものだと主張する人達がいます24。しかし、これらの惑星の性格から分かるのは、生命を育むことのできる惑星は極めて稀だということです。ひとつには、惑星は比較的若い、重元素に富む恒星の周りのみに発見されていますが、これらの星は私たちの銀河中の恒星のたったの2%を占めるに過ぎません。しかも、私たちが発見したこれら少数の「太陽系外」惑星はそれらの恒星に近すぎるか、極めて離心的な軌道をとっているので、それらの近くにある、生命を維持する可能性のある、より小さな惑星は引っ張られたり押されたりして、生命を絶滅させるような極端な熱さまたは寒さにさらされることになるはずです。このような惑星についての今日の研究はすべて、私たちの太陽系が比類なく、生命を保護するようにできているという結論を強く指示するものです25。

太陽のちょうど良い位置

地球上で生命が長期間にわたり存在しうるためには、太陽系が私たちの銀河の螺旋状の腕から、ある一定の距離を保っていなければなりません。これらの腕は、巨大な恒星が密集しているため、私たちの仲間の惑星の軌道を乱し、また多量の放射線を私たちに降り注いで、惑星の大気の破壊をもたらすことになるでしょう。さらに、私たちの太陽は銀河の平面(恒星の平均の位置)から大きく上がったり下がったりしてはなりません。他の多くの恒星に見られるこのような動きがあれば、ここでも致死的な放射線にわたしたちの惑星がさらされることになるでしょう。地球の様な惑星がそもそも形成されるには、私たちの太陽が銀河の中心から近からず遠からずの位置になければなりません。数多くの天文学的な観察が示していることですが、私たちの太陽系は生命にとって理想的なところに位置しており、しかもそこに何十億年もとどまってきました。この生命にとってユニークで安定した位置にあるということは、私たちの太陽系が神によるデザインであることを強く主張するものです。

調整された環境

太陽は、およそ38億6000万年前に地球上に生命が現れた時に比して、現在は35%も明るく輝いています。それでは、どうして生命は焼き尽くされなかったのでしょうか。1%の輝度の上昇ですら“温室効果のガス”を過熱するはずですから。それは、原始地球では地殻変動と火山活動が活発(極端にウランに富む地殻がエネルギーの源泉)でしたが、これとうまく合った種類と量の動植物が現れて協調的に働き、温度が安全な領域に保たれてきたのです。地球にある最も豊富な温室ガスは二酸化炭素と水蒸気で、これらが炭酸化合物に変換されて地殻に移行しましたが(石灰石、大理石、石炭、石油、天然ガス、などです)、それらがすべて丁度良い速度で進みました26。自然まかせの説明では無理なことですが、温室ガスが大気から注意深く調和を保って除去されたこと(「炭酸塩ー珪酸塩サイクル」と呼ばれる)により、太陽の輝きが増して温暖化が進むのと同じ量だけ地表が冷却されたのです。

頼りになる兄貴、木星

小惑星や彗星を観察している人々が間違いないとしていることですが、もし巨大な惑星である木星(右)が地球から今より少し遠くにあったり、今より少し小さければ、私たちの惑星は深刻な状況に陥るはずです。木星が遠ければ遠いほど、また小さければ小さいほど、地球では小惑星や彗星の衝突による爆発がより頻繁に起こり、高等な生命は長期に生存できなくなります。木星はその強力な重力で地球の防御網として働き、これらの物体を吸収したり、その方向をそらしたりしているのです。逆に、もし木星が地球に今より少し近くにあったり、今より少し大きければ、木星の重力により地球の軌道は今のような居住性と安定性を兼ね備えた“安全地帯”から引きはずされてしまうでしょう27。大多数の巨大惑星は自身が公転している恒星の近くに漂っていくものですが、私たちの驚くべき木星は(地球生命にとって)理想的な軌道にとどまってきました。木星のほとんど全ての特徴が人類の繁栄のために特別に神によりデザインされたことを示しています。

超新星ベラ:いやな仲間

宇宙線の大気圏放射についての実験の全データ集を用いて、天文学者のアーリキンとウルフェンデールは(1996年に)、地球に降り注ぐほとんどすべての致死的な宇宙線が、近くにあって最近誕生した、一つの超新星に由来することを突き留めました28。一つの超新星がこの記述にぴったり当てはまります:ベラ(上)です。ドイツとイギリスの天文学者達のチームが計算した結果、ベラは20,000年?30,000年前に爆発しました。そうすると、この出来事は聖書が述べている創世記の大洪水の時期に大体一致します。この様に、超新星ベラは、大洪水の後、(かつて900年以上もあった)人類の寿命が短縮したことを少なくとも部分的に説明するものかも知れません。超新星ベラより以前の人類はずっと少ない宇宙線を浴びていたはずで、その為にずっと長生きできた可能性があります。

パラダイムの転換5

現代科学がかつて信じていたのは、地球と月の取り合わせは幸せな偶然の出来事であり、実際上ほとんどどんな惑星系にも共通して見られる単純な作用と特徴をもったものに過ぎないというものでした。しかし、いまやほとんどの科学者はこう認識しています・・・

私たちの地球ー月系は、相互依存する地質学的、水力学的、及び気象学的特徴を有し、極めて稀な、複雑で超越的なデザインの存在を示しており、自然に任せたままなら確率的に極めて低い地球上における生命の維持が可能になるように働いていることが明らかである。

なぜ、科学がこの転換を起こしたのか?ここに感嘆せずにはいられないような発見の中から、ほんの数例を挙げます:

丁度良いオゾン層

ポール・クルッツエン、マーク・ローレンスらによる1997年の研究によると、地球上の生命にとって必要不可欠なのは一つのオゾン層のみではありません。三つです30!中間圏 (Mesosphere)(私たちの大気の外側の層、上図参照)では、そこで起きている生命に必須の化学反応と化学循環を制御するのに、丁度適量のオゾンが必要です。成層圏(Stratosphere)でオゾンが少なすぎると、過量の紫外線が地表に届いてしまいます。その結果、多くの植物や動物種が絶滅することになるでしょう。一方、成層圏でオゾンが多すぎると、地表に到達する紫外線量が減少しすぎて、植物が栄養素を産生したり、動物がある種のビタミンをつくる働きが障害されます。最後に、対流圏(Troposphere, 私たちに最も近い層)では、自然の汚染物質を含む大気を清浄化するのに、最低量のオゾンが必要です。けれども、対流圏にオゾンが多すぎると、動物の呼吸が傷害を受けます。さらに、これら三つの異なる大気層間のオゾンの循環が微調整されている必要があります。これは神聖なるデザイナーが働いていることをさらに反映するものです31。

もし月がなかったらどうなるか

もし月が今よりも小さかったり、大きかったり、或いはもっと近かったり、遠かったりしたら、どうでしょうか?簡単に答えれば、私たちは存在できなかったはずです。地球は今よりずっと異なる速度で自転していたでしょう。月がなかったら、潮の満ち引きがずっと弱く、私たちの生物資源も生物の多様性もずっと乏しいものになっていたでしょう。地球の自転軸の傾きももはや安定したものではなかったでしょう。地球の軸は、その近隣の惑星と同じように、太陽系の平面に対し、垂直方向から徐々に平行方向に移行していたことでしょう!ぞっとします!天文学者達が1980年代に発見したことですが、高等生命の存在には、小さな惑星で、その近くを大きな一つの月が回っている場合の特徴を備えている必要があります。下記(「避けてはならない衝突」)のように、奇跡的な衝突のみが私たちの持つ丁度良い月を生じさせることができたのです。

避けてはならない衝突

稀で驚くべき月形成という出来事によって、どんな恩恵を私たちは受けているでしょうか? それは数多くあります。安定した水循環と呼吸可能な大気もそうです。安定した水循環には、地球に見られる地表の重力のまさにその値が必要です。しかしながら、この重力値と地球の太陽からの距離では、地球の大気は今より80倍濃いはずですーこれは生命を壊滅させるほどの濃度です。それでは、なぜそうなっていないのでしょうか?(1970年代になされた)月の石と(1980年代になされた)月の動体力学の分析から天文学者がだした結論は、月は衝突から生じたということです(上に示す)。約43億年前、火星の二倍もある物体が地球に明らかに衝突しました33。この衝突により、当初の重い(生命に毒性のある)大気が地球から取り去られ、ずっと希薄な二次性の大気の形成が起こったと考えられます。勿論、衝突の破片から月そのものの形成が起きたことや、生命にとって必要不可欠な元素が地殻にまぶされたことは言うまでもありません。そのような生命にとって不可欠な結果をもたらすような衝突が偶然に起きる確率はどれくらいでしょうか34? 1兆のさらに1兆倍分の1よりずっと低いものです。この衝突は偶然に見えますか?私たちはそうでないと思います。

必要な毒に過ぎない

信じがたいかも知れませんが、砒素がないとあなたは死にます!そう、砒素は、高等な生命に必要不可欠なタンパクを維持するために、環境中に(適度の量)必要な12余りの“毒性”元素の1つに過ぎません。勿論、砒素が多すぎても死を招きます。科学者達は益々この不思議に気づき始めています:地球上にある多数の毒性物質の量が注意深く微調整されていて、生命が存続できるようになっているということです。これらが少なすぎると、生命機能が止まります。多すぎても、生命機能が止まります。天文学者たちが明言していますが、(場所、タイミング、及び種類において)“極上の”超新星と、これに加えて丁度良い物体が極めて精緻なタイミングと角度で地球に衝突したことが、これらすべての生命に不可欠な毒性物質を丁度良いバランスでもたらしたのです35。必要不可欠な毒性物質の存在は、私たちの太陽系において、神が生命維持のためにデザインされたことを示す、更なる劇的な証拠です。

パラダイムの転換6

科学のかつての主張は、生命は“原始スープ”から自然の化学過程を経て、徐々に出現したものであり、最初の生命は化学的には比較的単純なものであったというものでした。しかし、今やほとんどの科学者はこう信じています・・・

生命は、極めて敵対的と考えざるを得ない条件下で、地球上に急速に出現した。生命の原始スープが存在した証拠は何もない。そして、仮にその様な、なんらかの媒体があったとしても、原始地球では生命がそこから出現するのに必要な化学反応は維持できなかったであろう。

なぜ、科学がこの転換を起こしたのか?ここに感嘆せずにはいられないような発見の中から、ほんの数例を挙げます:

あなたのRNAは不安定です!

すべての資格のある生物学者が認めていることは、最も単純な生物でも、3組の非常に複雑な分子の取り合わせによる共生的な関係の上に、生存が成立しているということです。その分子とはDNA、 RNA(上)、そしてタンパクです。これらの分子すべてが、偶然に同時に同じところに出現することはあり得ないと認識しているので、生命の起源の研究者の中には、最初の生命はスーパーRNA分子(DNA, RNA及びタンパクの機能をすべて果たす能力の組み込まれた分子)の1組に頼っていたと推測する人もいます。しかしながら、生化学者の近年の実験が示すところでは、RNA分子やそのもとになるヌクレオチドでさえ、可能性のあるどんな原始地球環境下でも、化学的に不安定です36。RNA分子が化学的な破壊から守られる唯一の場所は細胞膜の内側です。これの意味するところは、RNA分子は細胞なくしては存続できず、細胞はRNA分子なくしては生存できないということです。これで自然主義にとっては、また一つ問題が増えたことになりますが、創造主の働きを示すさらなる証拠でもあります。

生命の出現はこんなにも多く、時間はこんなにも少ない

グリーンランドのきわめて古い岩石でみられる炭素13と炭素12の比率から明らかとなったのは、38億6千万年も前の地球上に生命が豊富に存在したということです37ー39。この年代は、地球が小惑星の衝突を頻繁に受けていた時代と3億5千万年以上も重なります。これらの衝突の中には生命を絶滅させるような出来事も含まれていました。ですから、この年代の重なりから明らかなことは、地球上の生命は何回も(小惑星の衝突の前、間,以後にわたり)誕生し、(何回もということではなかったとしても)これらの誕生のうちの少なくとも1回は数百万年未満のうちに起きました。無神論の化学者でさえ認めていることですが、考え得る最も単純な生命体でさえ、その様な短期間に無秩序の自然過程によって発生するには余りにも複雑すぎます。

そのケローゲンを残している岩石はない!

生命の自然発生仮説のすべてが、ケローゲン・タールと呼ばれる物質から生命分子がつくられる必要があります。問題は以下の点です:地球上でみられる、生命分子に組み立てられる可能性のあるすべてのケローゲン・タールとその他の炭素物質は、かつて生きていた生物の遺残です(生物が死ぬと、その遺骸の炭素分子が分解してケローゲン・タールになります)。ケローゲンと炭素化合物の検体中に含まれる、炭素13の炭素12に対する比率を解析することにより、その検体が「生命前駆」物質からつくられたものか、生きていた生物の分解に由来するものかが分かります。地球上のケローゲンと炭素化合物の堆積物についてのすべての研究において、研究者たちはそれらの最も古いものでも生物の分解によってできたことを発見しました40。生命以前のケローゲンや生命に関係した炭素化合物が地球上に存在しないことから、生命の誕生には超自然的な助けが必要であったことが示唆されます。

この「宇宙服」は役に立たない

自然の方法では生命は地球上に発生し得ないと認識して、非有神論者の中に(由来不明の)生命がどこか遠方の(そして未知の)場所から地球に運ばれてきたと推測する人々がいました。しかしながら、この仮定上の生命や有機物質を星間空間を越えて運ぶ可能性のある唯一可能な「推進源」は、星の光による放射圧力であると思われます。しかし、解決困難な問題があります。その有機物質が塵埃の粒子中で防護されたとしても、それを運ぶのに必要な放射が強すぎて、それを破壊するほどであろうと、最近の計算は示しています41。「はるか宇宙空間の」生命が地球に達し得た唯一の方法は、放射線の影響を受けず、そのような放射線の影響のすべてから生命を「守る」ことのできる、超自然的で超越的な力によることでしょう。

あなたのDNAは左利き?

アミノ酸は左回りと右回りの構造をとりますが、タンパク質は左回りのアミノ酸のみからつくられなければなりません。同様に、DNAとRNAは右回りのヌクレオチド糖のみ(これらも左回りと右回りの構造ができますが)からつくられる必要があります。これは無神論的な生命起源のシナリオにとって問題となります。なぜならそのような左回りのみか右回りのみの分子を提供する、自然の供給源は存在しないからです42ー44。左回りのみまたは右回りのみの分子を創り出す自然のメカニズムも見いだすことができません。生物学者の中には当初、中性子星やブラックホール近傍の放射線がいくらかの方向性をつくり出すかもしれないと推測する人もいましたが、この推測は崩壊しました。宇宙物理学者が、中性子星やブラックホールからの放射線は、つくられるかも知れないどんな分子もすぐに破壊してしまうことを指摘しているのです。さらにまた、中性子星やブラックホールから地球までの旅の間、分子の方向性などを保つのは不可能なことです45ー47。このような分子の方向性がおきるには超自然的な選択、すなわちデザインが必要です。

パラダイムの転換7

多くの科学者のかつての主張は、生きている細胞内の複雑性(複雑性=デザインの証拠)は、自然の過程で進化が働く際の見かけ上のものにすぎないというものでした。生物分子的な構造を変化させる化学的及び物理学的なゆらぎが自然の過程で選択されることで、その説明はつけられるという訳です。しかし、今やほとんどの科学者はこう信じています・・・

多くの生物分子的及び細胞内の微小なシステムは、モーターのような人によってつくられた機械にみられる主だった特徴をすべて有しており、意味のあるデザインとそれ以下には還元できない複雑性を呈している。端的に言うと、細胞生化学の性格に関する様々な発見によって、自然主義的なパラダイムの基盤が侵食され、超自然的な成り立ちが示されている。

なぜ、科学がこの転換を起こしたのか?ここに感嘆せずにはいられないような発見の中から、ほんの数例を挙げます:

細胞の税関審査官

X線走査電子顕微鏡によって、細胞壁或いは細胞膜上やその近くで働いているいくつかのタンパク構造の局在が明らかとなりました(たとえば、右に示す腎臓の細胞にみられるものもそうです)。これらの局在から明らかになったのは、分子ポンプ、バルブ、調節器、及びゲートの存在で、それは人によってつくられた同様の機械の複雑性と機能性に匹敵するものです48,49。それだけではなく、これらのタンパクには、自分がポンプで送ったり調節する異なった分子を見分け、状況によってポンプ作用と調節速度を調整する能力が備わっています。これらのタンパクはいわば税関の審査官の働きをしており、どんな種類の分子が、それぞれどれくらい細胞内に入り、また細胞外に出ていくかを決定しています。この驚くほど入り組んだ複雑性はごく最近明らかになったもので、これまで隠れて見えなかったデザインが初めて示されたのです。

それほどがらくたではないDNA

「がらくた」DNAという命名は、新しい「ギャップが示す無神論」(以前よりある「ギャップが示す神」という論議の逆)という考えを反映するものです。DNAコンポーネント(ヌクレオチド)のわずかなパーセントを占める特異的な配列さえあればよいと思われるので、科学者達はDNAの大きなパーセントを占める部分は進化の営みから取り残された役立たずのもの(がらくた)と考えていました。しかしながら、言語学的研究から明らかになったのは、この「がらくた」DNAには「優良な」DNAよりもさらに多くの情報を運ぶ特徴があるということです50,51。研究者たちは、DNAの細胞の残り部分に対する容量比及びある種のDNA配列の3次元的な配置が必須のものであることが分かり、いわゆる「がらくた」DNAの役割を認識し始めました。その他にも役割があることが、また判明するかも知れませんが、いずれにしても一つのことだけは確かです。それはDNAの研究が進むにつれ、研究者たちがかつて推測していたよりもずっと多くのデザインとずっとわずかのがらくたが明らかになるということです。

いくつかの分子はピストンエンジンです!

1997年、日本の化学者のグループが、X線走査電子顕微鏡を使って、初めてF1ーF0 ATPアーゼ酵素(左に図示)の結晶構造を明らかにしました52,53。これで明らかになったのは、エンジンブロック、駆動軸、及び3本のピストンに相当する構造を持った小さな分子モーターでした。このエンジンは1秒間に0.5?4回転のスピードで動く性能があります。これに対して優秀と思われたドイツ製エンジンは適わないでしょう!

あなたの遺伝子をちゃんとしておく

コンピューターがもたらす多くの恩恵の一つは、恐らく他のどんなものよりも強力に、生きている細胞内で起きている情報の複製の不思議を示せることです。タンパク、DNA、そしてRNAの細胞内システムは、遺伝暗号の伝達と複製の誤りを最小限におさえると同時に、どうしても発生する誤りの影響を最小限にするために、唖然とするような能力を必要としており、実際にそれを有しているのです。たとえばコンピューターと比べてみると、コンピュータープログラムのコードが100行あり、エラーの許容が0(即ち、誤りが1つあっても動かない)だとして、もしプログラマーがエラーが発生してもそのプログラムが働き続けるようにしたいと思うなら、そのプログラムは10倍、100倍、或いはそれ以上に長くまた複雑なものにしなければなりません。細胞内の遺伝情報の担い役は、常に暗号に障害を与える様々な力にさらされる環境下にあります。研究者達が観察していることは、エラーの増殖とエラーの伝達を最小に押さえ、エラーの及ぼす影響にうまく対応する細胞の能力は「最適」なものであると言うことができるということです54,55。それは人知を越えたものです。ここでもまた、生命には神聖な制作者がおられることを示す証拠があります。

パラダイムの転換8

ほとんどの科学者のかつての考えは、化石記録にみられる最大の絶滅や種形成でも、それほどには劇的でなく、或いはそれほどには急速でなく、これらを自然主義的に説明することにチャレンジを与えるほどではないというものでした。しかし、今やほとんどの科学者はこう認識し始めています・・・

地球上における、明らかに急速な生命の出現が、初期及び大量の絶滅後にも何度も繰り返して、多数の複雑な種として見られることは、自然界で知られているどんな現象によっても説明できないし、そのような現象をシミュレーションしようとする徹底的な試みがなされたにもかかわらず説明困難であると。

なぜ、科学がこの転換を起こしたのか?ここに感嘆せずにはいられないような発見の中から、ほんの数例を挙げます:

二畳紀のカタストロフィーの規模

古生物学者たちによって現在明らかにされたたことですが、二畳紀の絶滅の出来事はーおよそ2億5千万年前のことですがー地球のすべての陸上及び海洋生物種の90%を滅亡させました56。これにより、オーストラリアの植物種の少なくとも97%が間違いなく絶滅しました57。このカタストロフィーの原因は何ですか?それは、シベリアにある火山が噴火し、溶岩が6mもの厚さの層を全地表に敷き詰めるほど噴出されたのです58(その規模は、上の写真にあるような今日の溶岩流出よりはるかに大きいものでした)。そのような広範な絶滅及びそのカタストロフィー後にみられる、非常に広範で多種多様にわたり、かつ急速な様々な種の出現は、多様な種の起源を説明するのに何兆年もの時間を必要とする自然主義的な解釈にとって、乗り越えることのできないチャレンジとなっています。

恐竜の絶滅

1998年、地質学者と地質物理学者たちからなるいくつかの異なるチームが、3つの恐竜時代すべて(三畳紀、ジュラ紀、そして白亜紀)が地球外からの巨大な物体の衝突によって終わったことを明らかにしました59ー62。そのような出来事によって、すべての恐竜が絶滅したのみならず、その他の多くの生物種も同様の道をたどりました。しかし、いずれの場合にも、絶滅した恐竜のあとを、新たな巨大陸上生物が速やかにとって代わりました。そのような生物が突然変異と自然選択によって進化する確率はきわめて低いので(次頁の「鯨の話」参照)、それらの急速な出現は自然主義ではなく、神による創造の証拠となるものです63。

終わりと始まりのサイクル

1997年に(下の写真のような)地質学者によるアメリカ東海岸沖の海底沈渣のドリル探査で明らかになったことですが、6千5百万年前にユカタン半島に激突した小惑星によって、恐竜やその他の大型生物、及びさらにずっと多くの生物が絶滅しました。多くの微生物種もまた壊滅しました。その小惑星衝突による大惨劇直後の5千年間を代表する堆積層を発掘した結果、ドリル探査によってこれらの種がすべて消滅したことが立証されました64ー65。しかしながら、驚くべきことに、その次の地質層に(このひどい荒廃のすぐ次の時代を代表する層)は何千もの新しい種の突然の出現がみられるのです。このように多数の新しく、異なる種が突然に出現したことの唯一、納得できる説明は・・・超自然的な働きです。

生命の真に爆発的な出現

化石記録から分かることは、生命出現の奇跡後、地球上の最初の33億年間の生命史は比較的平穏でした 一 単細胞生物やそのような単細胞が鎖状に連なった生物より複雑なものの痕跡は何もありません。突然、5億4300万年前に、関節・付属器・特殊化した器官を有する種が出現しました。その生命の「爆発」(生物学者が「カンブリア紀の爆発」と呼ぶ)の間、70門以上の生命が誕生しました(門は生物の分類で最も大きなカテゴリーです)。それは今日も地球上に見られる30門の生物と40門以上のその後に絶滅した生物に成り立っています。中国で発見された化石(例:左のアノマロカリス(Anomalocaris)や右のミスゾウイア(Misszhouia))や、カナダで発掘された多数の化石から確実になったことは、この種形成の活動すべてが長くとも300万年という時間枠の中で起こり、その後の5億4000万年の間に新しい門は何一つ出現していないということです。この急速で、多様性に富み、かつ複雑な種形成は自然主義的な説明を受けつけません。超自然の働きを考えるべき時です。

パラダイムの転換9

科学者は長い間、化石記録と地球上の生命史は、自然の過程による生物進化を強固に支持していると明言していました。しかし、今やほとんどの科学者はこう認識しています・・・

今日の研究者は、化石記録に漸進的な進化による形態変化が全く存在しないこと、及び進化によって変化が起きる機構が全く見いだせないことに直面している。これに代わる別の自然主義的な過程を模索する研究者もいるが、彼らの成功への望みは薄れつつある。

なぜ、科学がこの転換を起こしたのか?ここに感嘆せずにはいられないような発見の中から、ほんの数例を挙げます:

藍藻植物は全く動かない

最古の化石は藍藻植物です。それらはまた時代を超えてあまねく見られるもので、30億年以上前の堆積物に見い出され、今日まで生存しています67。進化論者はすべての生命がこの藍藻植物から自然の過程で生まれたと主張してきました。彼らが直面する問題は、古生物学者がこの30億年の間、藍藻植物に何の変化も見い出していないことです。明らかに、このずっと生存してきた生物は進化しなかったし、(これからも)進化しないのです。

鯨に対するでっかい作り話

小学校の1、2年生くらいで早くも習うのは、ある種の大型陸生哺乳類(メソニキッド、Mesonychid)が古代の真水を飲む鯨に進化し、それが次に塩水を飲む鯨に進化してから、今度は中間的な鯨に進化し、さらにそれが今日の鯨に進化したと言う話です。書物、公の場、或いはメディアでの討論で、進化論者は「移行型」の存在、及び突然変異と自然選択が進化の導き手となりうるものであることを最も強力に証明するものとして、この「累進」を提示します。しかし、この結論に対する強力なチャレンジが最近の種形成モデルと明らかとなった鯨の変化が起きた際の急速さという事実によってもたらされています68。これらの種形成モデルは突然変異と自然選択が働いてある一つの種を進化させる場合のパラメーターを規定しています。それらによると以下のような必要が浮かび上がってきます69。1)突然変異と自然選択によって進化するには、種に少なくとも1015の個体がなくてはならない、2)その誕生から生殖年齢への成熟までの期間が3ヶ月以内でなくてはならない、3)1成体あたり、多数の子孫が生まれなければならない、4)その体長が1cm以下でなければならない、5)特別ではない食物供給にたよるでなければならない、6)その体の細胞の大部分を単純な細胞でなければならない。これらの基準やその他によれば、鯨が自然の進化機構で進歩する可能性は実際上全くありません。

多くの種はどこへ行った?

化石記録をみると、すべての自然主義的な進化のシナリオは大変な謎に直面することが解ります。それは、動物の種形成についての測定可能な劇的変化が、人類が出現したちょうどその時期に起こったということです。カンブリア紀の爆発的種形成の時代から先、人類の出現まで、新種は1年に平均一種かそれ以上の頻度でみられ、絶滅もほぼ同様の速度で起こりました。しかし、人類の出現以後は、ヒトがもたらした影響のために(自然の原因による絶滅の速度は一定ですが)絶滅の速度はわずかに増加し、一方、新種の出現頻度は事実上ゼロにまで急下降しました。自然主義的な理論はこの変化について何の説明もできません。聖書に基づく創造モデルは明確にその説明をしています。創世記1章によれば、神は6つの創造の時期を通じて、ちょうどアダムとイブの創造に至るまで、活発に新しい種を造られ、創造のわざを終えられました。その「7日目」に、新しい時代が始まります。それは贖いの時代であり、神による悪の制圧が現される時です。聖書によれば、その日が来た時、神はもう一度、完全に「新しい天と新しい地”を創造されます(黙示録21:1)。

真菌類は理想的なタイミングで出現

樹木やその他の植物が、ただの岩石から生えているのをみるのは驚きです。この不思議な現象は地球上の生命史において最初の33億年間はこれが起き得なかったことです。一つの理由は当時の地殻を形成していた岩石物質は当初、高等植物の生存を維持できなかったということです(ですから、当然、生命維持を高等植物に依存している他の生物も維持できませんでした)。しかしながら、可能な最も早い時期に、隠花植物(すなわち、藻類、真菌、細菌)の大量の群体が地球を覆い、共生関係にある複雑な系の形で存在しました。しかも、それが何億年にもわたり続いたのです。研究者たちは現在、この隠花植物の生育は自身の生存ということを超えて、将来のために一つの役割を果たしたと考えています。それは、大陸の土質を変化させるのに貢献したということです。すなわち、岩石を変化させ、高等植物を計画的に移入するのに適した土壌にしたのです70,71。

パラダイムの転換10

現代科学はかつて、人類が長い時間をかけて漸進的に出現したと考えてきました。完全な自然過程により、原始的な霊長類から、猿のような二足歩行の霊長類に、そして現代人にとです。しかし、今やほとんどの科学者はこう認識しています・・・

現代人は最近、突然に出現し、他の霊長類との関係が無く、現存の、あるいは絶滅した他のいかなる種とも多くの生理学的な点において異なる、完全にユニークな存在であると。

なぜ、科学がこの転換を起こしたのか?ここに感嘆せずにはいられないような発見の中から、ほんの数例を挙げます:

母親イブの跡を追う

過去10年間、フィンランド、英国、アメリカ、またその他にも多くの国でDNAとヒトの家系についての膨大な研究がなされてきた。ミトコンドリアDNA(上写真) 一 これは細胞核の外にみられるDNA分子で、全てのヒトが彼あるいは彼女の母親から受け継ぐものですが 一 この試料が研究の的です。多様な民族グループから、現存する複数の世代から、そして正確な年代決定ができる過去の時代の死体から採取された試料により、科学者たちはある種の決定を下すことができます。遺伝子変異が起きる速度を決定し、また民族グループの移動と混血により生じる変化のパターンを確定できるのです。この情報を用い、科学者はヒトが多くの女性の先祖に由来したのか、一人に由来したのかが解るのです。驚くべきことに、データは全てのヒトが一人の母親に由来することを示しています。さらに、測定された遺伝子変異の速度を取り入れると、その最初の女性から現在までにどれほどの時間が経っているかが計算できます。その答え:約50000年ほどに過ぎません72。この年代はあまりに最近すぎ、現在あるどんな進化理論もそれを説明することができませんが、神がイブを創造された聖書による年代とは完全に相いれるものです73。

ネアンデルタール人と縁を切る

何と皮肉なことでしょうか:ダーウィンによるヒトの系統仮説を世界中に知らしめ、広く受け入れさせることになった、まさにその同じネアンデルタール人の化石から(現代のテクノロジーの助けを得て)ヒトがネアンデルタール人と生物学的なつながりがないという決定的な証拠が明らかとなったのです(右はその頭蓋骨標本)。1997年、遺伝学者達がその化石からミトコンドリアDNA試料を抽出し、ヒトのミトコンドリアDNA試料と比較しました74,75。彼らが驚いたことには、これらの試料からヒトはネアンデルタール人の子孫ではあり得ず、その遠い親戚でさえもあり得ないということが決定的になったのです。ごく最近、この結論は29000年前に生きていたネアンデルタール人の子供の骨から採取されたミトコンドリアDNAにより確認されました76。ヒトとネアンデルタール人は全く関係が無いのです。わたしたちに言わせれば、彼らは「別個に、しかも特別に創造された」種なのです。

発見に鼻が効いた

1996年、ネアンデルタール人についてさらに調べようと、人類学者のイアン・タッタソールとジェフリー・シュワルツはネアンデルタール人の完全な頭蓋骨13個について鼻の特徴を測定しました77。彼らの発見に人類学界は大揺れとなりました。ネアンデルタール人の鼻腔容量は本当に大変なものであることが解ったのです。それは他のどんな霊長類の種よりも甚だしく大きかったので、タッタソールとシュバルツはこの驚くべき結論を発表しました:ネアンデルタール人はヒトと無関係であるばかりか、その鼻の特徴は今日生存している、あるいは化石記録に見い出されるどんな霊長類動物(あるいは他の哺乳類)にもつながりがあり得ない。

私達はみな悪い方向に突然変異している 一 しかも急速に

ごく最近まで、(わたしたち、「進化論的に高等である」人類のような)高等な種の一世代に生じる有害な突然変異の数を調べた人はいませんでした78。明らかとなったその数は驚くべきものでした:ヒトでは一世代、一人あたり、3.0個の割合で有害な突然変異が起きております。チンパンジーやゴリラの場合もこれに劣らず高頻度です。そのために、これらの3種はかなり急速に絶滅する危険が高いほどです。これらの頻度からも、古い原始的な種が自然過程により進化して、新しい、より高等な種に変わるという自然主義的な推測には疑いがもたれます。

白目によって

ヒトは、目の虹彩を囲む、広くてめだつ白目の部分を有する唯一の霊長類種です。ヒトに白目があることについて、生存上の優位性はほとんどありません。従って、このユニークな特徴は何らかの自然進化によるものではあり得ません。日本の生物学者達によると、ヒトの白目には社会学的な優位性が間違いなくあります79,80。これにより、私たちは互いにさりげなく信号を送ったり、感情・態度・価値観などを伝えたり、遠距離から群衆中の誰かを見つけだすことができるのです。明らかに、私たちをデザインされた方は、そのような能力が、石器時代の家族にはそれほど役立つものではありませんが、ハイテク文明では役に立つ資質となることを知っておられたのです。

科学に語ってもらおう

「科学が立場を逆にした」と言うことは、実際は、科学者が真理を追求することにおいて一貫していることに名誉を与えるものです。科学者は日常的に仮説を変更しており、そのことは彼らの仕事そのものの一部となっています。

しかしながら、「科学が立場を逆にした」と言うと、困惑を覚えるのではないでしょうか。もし、クリスチャンも科学者も同じ真理の探究にあたっているのなら、どうして「複数の立場」があるのでしょうか?誰が立場をつくりあげたのでしょうか?

わたしたちが、科学が立場を逆にしたと言うとき、すべて、あるいはほとんどの科学者が今やクリスチャンになる心づもりがある、という意味ではありません。科学者にも、すべての人がそうであるように、神の権威が自分の人生を支配することを拒絶するという「自然の」傾向に対しての戦いがあります。事実、イエスはその地上における宣教の中で、ご自身を人々がつまずく障害物に例えておられ、その真理は今も変わりません。

しかし、真実の神に従っているはずのクリスチャンが、イエスが指摘されたことに加えて、さらなるつまずきの石を置く必要が、本当にあるのでしょうか。私たちは反科学の立場をとらなければならないのでしょうか。科学は多くの面で私たちに恩恵を与え、特に私たちの天の父が創造されたこの宇宙についての真実を追究することで貢献しているのに。すべての人々の中で、私たちこそ、科学の仕事を情熱的に支持するべきです。というのは、科学の最大級の疑問に対する解答は宇宙を超えて、その全てを創造された存在者を指し示すことを確信しているからです。

Updated: 2007 年 12 月 21 日,08:18 午後

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