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"Reasons To Believe"(信仰の根拠)が発行した"Connections" (2001年, vol.3, no.2, p.1)からの翻訳。 松崎英高(箱崎キリスト福音教会牧師)、ティモシー・ボイル(つくばクリスチャンセンター宣教師、物理学学士号、神学博士)共訳 【Author】Fazale R. Rana 【Title】New Challenge to the Bird-Dinosaur Link 【Literature】Connections, 2000, Vol. 2, No. 2, p. 3. 研究者たちは、中華人民共和国の遼寧(リヤオヤン)省にある、化石を極めて豊富に有する義県層(イーシャン層、the Yixian Formation)(訳注・)の整理作業をしています。その地層には、植物、昆虫、無脊椎動物、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、そして恐竜の化 石が、極めて良好な保存状態で含まれています[1]。恐らく間違いなく、この場所から出土した最も興味深い化石は獣脚類(訳注・)ですが、それらのうちのあるものは、 羽毛を身に付けていたと解釈されてきました[2][3]。これらの種が鳥類と恐竜を繋ぐ重要な移行中間種であると、進化論者たちによってしきりに主張されてきました。 最初に決められた義県層の年代は、その可能性を支持するように思われました。生物層位学的対比と呼ばれる方法を用いて、科学者たちはそれらの化 石をジュラ紀の後期(1億3500万年前より以前)と特定しました。こうして、羽毛を備えた獣脚類は、真正な鳥としては最古のものである始祖鳥 (archaeopteryx、アルカエオプテリクス)と同時代に生息していたことになり、またその先祖である可能性が出てきたのです。(この年代決定 法は、ある地層から出土した示準化石を、同じ示準化石を含んでいて、年代がすでに判明している地層と比較することによって、その地層の年代を見積もると いうものです[4]。) その重要性のゆえに、義県層の年代決定を行なうために、幾つかの研究チームが、さらに多くの労力や技術を必要とする方法に集中的に取り組んでき ました。最近の二つの研究では、40Ar-39Ar法という放射性年代決定法が使用されました。両者の研究によると、義県層の年代は、1億2100万年 から1億2500万年の間でした[5][6]。 これらの新たな年代は、義県層を白亜紀の初期のものとします。そうすると、始祖鳥は、それに先立つ“中間種”と呼ばれたその獣脚類より少なくと も2000万年も古いことになります。義県層の獣脚類は今や、他の全ての獣脚類と同様、年代的な矛盾に陥っています。すなわち、全ての獣脚類は、それら が鳥の先祖であると公表されたにもかかわらず、化石の記録では鳥類が最初に出現した後に、よく登場するのです[7](訳注・)。 化石の記録における出現の順序は、進化のパラダイムの有効性を確立する上で、重要なことには変わりありません。こういうわけで、義県層の年代を 再測定した結果には、問題の核心を突く示唆があります。それは、獣脚類から鳥への進化的な繋がりを著しく弱め、鳥の起源は進化論的モデルでは説明できな いものとするのです。 訳注
引用文献1 Paul M. Barrett, “Evolutionary Consequences of Dating the Yixian Formation,” Trends in Ecology and Evolution,15 (2000), pp. 99-103. 2 P-J Chen et al., “An Exceptionally Well-Preserved Theropod Dinosaur from the Yixian Formation of China,” Nature,391 (1998), pp. 147-152. 3 Q. Ji et al., “Two Feathered Dinosaurs from Northeastern China,” Nature,393 (1998) pp. 753-761. 6 Carl C. Swisher III, et al., “Cretaceous Age For the Feathered Dinosaurs of Liaoning, China,” Nature,400 (1999), pp. 58-61. 7 Alan Feduccia, The Origin and Evolution of Birds, 2nd edition (New Haven: Yale University Press, 1999), p. 382. |