羽毛恐竜か、それとも飛べない鳥か?

"Reasons To Believe"(信仰の根拠)が発行した"Connections" (2000年, vol.2, no.4)からの翻訳。

松崎英高(箱崎キリスト福音教会牧師)、ティモシー・ボイル(つくばクリスチャンセンター宣教師、物理学学士号、神学博士)共訳

【Author】Fazale (Fuz) R. Rana

【Title】Feathered Dinosaur or Flightless Bird?

【Literature】Connections 2000, Volume 2, Number 4

オレゴン州立大、パーデュー大学フォート・ウエイン校、ジョン・ホプキンス大学、チャールストン大学の科学者たちによる最近の共同研究によって、 かつて羽毛恐竜として大げさに宣伝されたカウディプテリクス(Caudipteryx)(訳注1)が飛べない鳥であった可能性が高いことをさらに裏付け る証拠が提出されました[1]

カウディプテリクスは、中国の遼寧(リヤオヤン)省のChaomidianzi層(訳注2)でそれが発見された1998年に、最初に科学文献に 登場しました[2]。当時、1億4500万年から1億2500万年前と年代決定されたこの種は、二足歩行の獣脚類(訳注3)と鳥の重要 な移行中間種であると説明されました[3]。この主張は、カウディプテリクスが鳥に見られるものと同じ、十分に整列した羽毛を持っていたという事実に基づいて います。

しかし、カウディプテリクスに関するこの解釈は唯一のものではありません[4]。そのことを拒む多くの理由があったのです。その幾つかをRTBのニュースレターで紹介してきました[5]。その主な論拠は、時間のパラドックスとして古生物学者によって知られる事柄に由来します。すなわち、カウディプテ リクスは、最古の鳥として知られる始祖鳥(Archaeopteryx)の後に化石記録に現われるのです[6][7]

カウディプテリクスが鳥に?がる移行中間種でないのなら、科学者たちは鳥と獣脚類との間の類似性をどのように説明するのでしょうか。それは、一 言で言えば、収れんです。生物界で広範に観察される現象である収れんとは、類縁関係のない生物によって共通した解剖学的特徴が共有されることを指しま す。鳥と獣脚類は二足歩行をしますから、それらが収れんした特徴、すなわち類似した特徴を持っていても驚くことではないのです。鳥と獣脚類の足の構造に 関する最近の研究は、共通の祖先を持たないでも収れんが起こる事例があることを支持しています。

鳥と獣脚類には双方とも、前方に向かう三本の長い指と後方に向かう一本の指とサイズが大きく縮小した一本の指があります。これらの類似点は、最 初には鳥が恐竜を祖先に持つという関係を示唆しましたが、注意深い分析によって根本的な相違が明らかとされるのです。例えば、獣脚類の前方に向かう指は 第一指と第二指と第三指ですが、鳥のものは第二指と第三指と第四指です[8][9]。足跡の分析は、第一指の機能や足の配置や後肢の運動に関して、これら二つのタイプの生物間に、重大な相違があ ることを示しています[10]

足の構造におけるこれらの違いに加えて、科学者たちはテリー・ジョーンズと彼の研究チームが特定した違いを指摘することができるのです[11][12]。この研究チームは、飛べない鳥と二足歩行する恐竜に関してそれらの重心や全長に対する後肢の長さの割合 を比較しました。また、その研究チ-ムの分析によって、獣脚類と飛べない鳥の二足歩行性にかなりの違いがあることが明らかになりました。飛べない鳥が歩 く時、上脚部(大腿部)は比較的に静止したままですが、膝から下の下脚部だけが前後に振られるのです。このような歩行の描写はカウディプテリクスにも当 てはまります。それとは対照的に、二足歩行の恐竜は、脚全体を使用して歩行するのです。

ジョーンズの分析は、カウディプテリクスが始祖鳥以降に地球上に出現した、飛べない鳥である可能性の方が大きいことを示唆します。カウディプテ リクスはもはや、恐竜から鳥への移行中間種であると見なすことができません。また、それは、たまたま収れんして鳥と同じ特徴を持つに至った羽毛恐竜でも なさそうです。これから確かめるべきことは、原始祖鳥(Protarchaeopteryx)(訳注3)のような他の羽毛恐竜が飛べない鳥と類似した二 足歩行性を持っているかどうかということです。

進化論的なパラダイムによっては、単純には鳥の起源を説明することはできません。しかし、創世記1章20-21節に見られる鳥の起源の聖書的な 説明は、自然の記録と合致しているのです。

訳注

  1. “尾に羽毛を持つ”という意味。尾羽鳥とも呼ばれる。白亜紀前期に生息。現生鳥が持つような尾羽が特徴的。前肢にも羽毛があったが飛べなかった とされる。獣脚類カウディプテリクス科とされ、獣脚類恐竜から鳥への移行中間種と見なされるが、二足歩行性や身体の構造(重心と脚部の比率)が獣脚類の ものではなく、鳥のものであることから、飛べない鳥(走行鳥)であるとの主張がある。
  2. 羽毛恐竜などで有名な遼寧省北票市郊外にある義県層のことらしい。
  3. 白亜紀前期の羽毛恐竜の一種とされる。発見当初は、始祖鳥よりも原始的な鳥と考えられた。

引用文献

1 Terry D. Jones, et al., Cursoriality in Bipedal Archosaurs, Nature 406 (2000): 716-18.

2 Ji Qiang et al., Two Feathered Dinosaurs from Northeastern China, Nature 393 (1998): 753-61.

3 Ann Gibbons, Dinosaur Fossils, in Fine Feather, Show Link to Birds, Science 280 (1998): 2051.

4 R. Monastersky, Feathered Dinosaurs Found in China, Science News 153 (1998): 404.

5 Hugh Ross, Darwinism’s Fine Feathered Friends: A Matter of Interpretation, Facts and Faith 12, no. 3 (1998): 1-3.

6 Alan Feduccia, The Origin and Evolution of Birds, 2d ed. (New Haven, CT: Yale University Press, 1999), 382.

7 Fazale (Fuz) R. Rana, New Challenge to the Bird-Dinosaur Link, Connections 2, no. 2 (2000): 3.

8 Richard Hinchliffe, The Forward March of Bird-Dinosaurs Halted? Science 278 (1997): 596-97.

9 Ann C. Burke and Alan Feduccia, Developmental Patterns and Identification of Homologies in the Avian Hand, Science 278 (1997): 666-68.

10 Stephen M. Gatesy, Three-Dimensional Preservation of Foot Movements in Triassic Theropod Dinosaurs, Nature 399 (1999): 141-44.

11 Jones, 716-18.

12 S. Perkins, Feathered Fossil Still Stirs Debate, Science News 158 (2000): 119.

Updated: 2007 年 08 月 20 日,07:08 午後

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