DNAの研究は過去との繋がりを切断する

【タイトル】DNA STUDY CUTS LINK WITH THE PAST

【著者】Fazale R. Rana

【文献】CONNECTIONS,Vol.2, No.3

松崎英高(箱崎キリスト福音教会牧師)、ティモシー・ボイル(つくばクリスチャンセンター宣教師、物理学学士号、神学博士)共訳

ネアンデルタール人と現代人との間の繋がりを確実なものにしようと、古生物学者や人類学者が抱いていたわずかな望みの糸はついに断ち切られてしま いました。この結論は、二つの研究チーム(ストックホルム大学とグラスゴー大学)によってなされた研究報告から導き出されたものです。それは、進化説に とっては深刻な影響を与えるものです[1]

ネアンデルタール人は、ヨーロッパや中近東において15万年前から3万年前まで生息していた二足歩行する霊長類でした[2]。ネアンデルタール人は、化石の記録によると現代人の直前に現われ、現代人と解剖学的に共通な特徴が幾つか見られま した。そのために、ネアンデルタール人は現代人と二足歩行する霊長類のうちでもさらに原始的な“ホモ”属との中間種であると、科学者たちは長い間見なし てきました。

1992年にネアンデルタール人と人間との解剖学的に顕著な相違の発見がなされ、生息環境や生活スタイルの違いを上回る遺伝子の大きな相違も見つ かりました。それが進化論的な繋がりを脅かす最初のものとなったのです[3] [4]。さらに、1997年には画期的な論文がCellという雑誌に載りました。ネアンデルタール人のミトコンドリア DNAの断片(西ドイツで発見された4万年から10万年前の骨から苦労して抽出された)の塩基配列を決定して、現代人の対応するDNA断片の塩基配列と 比較することによって、研究者たちはネアンデネタール人が現代人への遺伝的な寄与が何もないことを示しました[5][6]

科学的研究の最良の模範として、この研究は高い評価とほんのわずかな批判を受けました。しかし、古代のDNAの解析に常に伴う汚染の可能性のゆえ に、科学者たちはこの結論を文句なしに受け入れることにためらいがありました。しかし、ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの異なる部分の断片に 関する第二の研究が同じ結果に至ったので、そのためらいは全く払拭されたのです。

グラスゴーとストックホルムの研究チームは、決定的な一撃を加えることになりました[7]。彼らは、ネアンデルタール人の分布した最も東寄りの地域で発見された29,000年前の二体目のネアンデルタール 人の骨(幼児のもの)から、それぞれ独自にミトコンドリアDNAを単離して、塩基配列を決定しました。両方のチームとも同一の結果を報告しましたが、そ れらは先になされた研究結果と一致していました。すなわち、ネアンデルタール人と現代人とは、遺伝的な繋がりはないということです。

ネアンデルタール人の生息地域の両端において、また、時間的にも1万年以上(一つは現代人の出現にかなり近い)隔てられた、異なる個体においてな された調査[8]であることを考慮すると、これらの結果は極めて説得力があります。中間種の候補として、“考えられないこともない” が、実際はそうでないものがもう一つ残されています。すなわち、80万年前と年代決定されたHomo属の先祖(二足歩行する霊長類)ですが、単一個体の 顎骨の一部だけが知られているものです[9][10]。しかしながら、創造者によって人類が創造されたということには、圧倒的な証拠が確かにあるのです。

引用文献

1 Matthias Hoss, “Studying Ancient DNA,” Nature404 (2000) 453.

2 Roger Lewin, Principles of Human Evolution(Malden, MA: Blackwell Science, Inc., 1998) 365

3 Christopher Stringer and Robin McKie, African Exodus: The Origins of Modern Humanity(New York, NY: Henry Holt and Company, 1996) 85-114.

4 Stringer and McKie, 85-89

5 Matthias Krings et al., “Neandertal DNA Sequences and the Origin of Modern Humans,” Cell90 (1997) 19-30

6 Hugh Ross, “Neandertal Takes a One-Eighty,” Facts & Faith11,3 (1997) 4-5

7 Matthias Krings et al., “DNA Sequence of the Mitochondrial Hypervariable Region「from the Neandertal Type Specimen,” Proceedings of the National Academy of Sciences, U.S.A, 96 (1999) 5581-5585

8 Igor V. Ovchinnikov et al., “Molecular Analysi of Neandertal DNA from the Northern Caucasus,” Nature404 (2000) 490-493

9 J.M.Bermudez de Castro et al., “A Hominid from the Lower Pleistocene of Atapuerca Spain: Possible Ancestor to Neandertals and Modern Humans,” Science276 (1997) 1392-95

10 Fuz Rana, “Up (and Away) from the Apes,” Connections1,4 (1999) 3-4

Updated: 2006 年 11 月 02 日,04:32 午後

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