ヒト科(ホミニド)に関する聖書的見解

ファザール・ラナ

Facts for Faith quarter 4, 2001, Issue 7, 35

松崎英高(箱崎キリスト福音教会牧師)、ティモシー・ボイル(つくばクリスチャンセンター宣教師、物理学学士号、神学博士)共訳

(訳注:ラナ博士は、ヒト科(ホミニド)を初期人類以降のすべての人類に限定する旧来の分類法を採用している。現代ではチンパンジーやゴリラをも ヒト科に含める考え方が主流になりつつある。)

人間が神の直接的な創造行為によって神のイメージに造られたのなら、ヒト科や二足歩行をする霊長類に関して、適切な聖書的見解とはどんなものなの でしょうか。私たちが採用した聖書的モデルでは、二足歩行する霊長類は創造されて後に絶滅してしまった別個の生物種であると考えます。アウストラロピテ クス属やケニアントロプス属やパラントロプス属というすべての類人猿様の動物は、限定的な知性と二足歩行性を持ち、さらに、ある場合には極めて粗野な道 具を使用していました。ホモ・エレクトスやホモ・ネアンデルターレンシスのようなヒト属に分類される二足歩行をする霊長類は、直立して歩行し、粗野な道 具を使用し、知性を持ち、おそらく感情的な機能さえ持っていました。しかし、それらは霊的な能力に欠けていました。それゆえに、現生人類とは区別されな ければなりません[1]

二足歩行する霊長類は、神のイメージに創造されたわけではありません。古人類学者たちは考古学的な記録の中に、ネアンデルタール人や他の二足歩行 する霊長類が宗教的な活動をしたという示唆をまったく見つけられないのです[2]。二足歩行をするヒト属は道具を使用しましたが、それらは粗野であり、現生人類が使用した精巧な道具とは質的に明確 な区別があります[3]。ネアンデルタール人は、ほぼ確実に言語能力を持ちませんでした[4]。創世記1章には、二足歩行する霊長類の存在をほのめかすような記述はありません。神によるそれらの創造は、ネフェ シュ(訳注:精神という意味のヘブル語で、それを所有する動物にも使用される語)、あるいは知・情・意を付与された動物のグループの中に、創造の第5日 と第6日に行われたと推論できます。

引用文献

1 Hugh Ross, The Genesis Question(Colorado Springs, CO: NavPress, 1998), 54-55; 110.

2 Eric Delson et al., eds., Encyclopedia of Human Evolution and Prehistory, 2d ed. (New York: Garland Publishing, 2000), 615-17.

3 Tom Clarke, “Relics: Early Modern Humans Won Hand Over Fist,” Nature Science Update, (6 February 2001); Steven E. Churchill, “Hand Morphology, Manipulation, and Tool Use in Neandertals and Early Modern Humans of the Near East,” Proceedings of the National Academy of Sciences, USA98 (2001): 2953-55; Wesley A. Niewoehner, “Behavioral Inferences from the Skhul/Qafzeh Early Modern Human Hand Remains,” Proceedings of the National Academy of Sciences, USA98 (2001): 2979-84.

4 Christopher Stringer and Robin McKie, African Exodus: The Origin of Modern Humanity(New York: Heary Holt and Company, 1996), 85-114.

Updated: 2006 年 11 月 02 日,04:27 午後

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